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そうだ京都いこう 地図に載るということ

発酵の記録

そうだ京都いこう

この有名なキャッチフレーズはJR東海、そうだ京都いこうキャンペーンのものです。春は桜、秋は紅葉、京都の名所を紹介して東海道新幹線エリア、名古屋、静岡の東海エリアから神奈川、そして東京エリアのお客さんに新幹線を利用いただいて京都にお越しいただこうと始まったものでした。

こちらのキャンペーンは主に京都市内の社寺が紹介されていました。キャンペーンが始まってから25年目の秋に一休寺が選ばれました。過去に夏の時期に八幡市の岩清水八幡宮さんが選ばれたことはありましたが、春と秋のキャンペーンで京都府南部、京都府外の社寺が選ばれたことはありませんでした。

だれも選ばれるなんて思ってはいなかったと思います。地元関係者で予想をしていた人は誰もいなかったでしょう。しかしながら私はお寺で働くようになってずっとこのことを目標にやってきました。たまに感情が高ぶってこんな夢を語ってしまおうものなら「京都市内やないのに選ばれるわけがない」と笑われたものです。

しかし、選ばれる必然性はありました。
まず一つ目は交通の便です。新名神高速道路の計画、久御山ジャンクションなど交通の要は京都府市内より南側にあります。昔から京田辺市は近畿のちょうど真ん中に位置し京都、奈良のちょうど真ん中であり大阪、滋賀にも近い。大阪には第二京阪で滋賀には京滋バイパスで繋がっています。
実際、京都郵便局は隣町の城陽市に開局。近畿で二番目の大型拠点として京都、滋賀で集配される郵便物の区分業務を行い、近畿の物流の要となっています。本能寺の変で家康が大阪から逃げ帰った伊賀越えもこのエリアの特性をよく表しています。

二つ目は春秋のシーズンの京都市内が観光客で飽和状態にあるということです。
今はコロナでインバウンドの海外の観光客がいませんが、海外と日本の観光客で京都市内は大変なことになっています。元々そんなに大きくない街なのでカバーしきれないの実際のところ、観光シーズンの京都で宿をとることはかなり難しくなっていました。

実際、京都市内観光の宿泊地として大津や亀岡を選択する人は多かったと思います。
京都府全体をみても他の海外の観光地にくらべて規模は小さく、一日で北から南を横断することは可能です。京田辺から天橋立も日帰りで旅行することが出来るようになりました。

私は南山城エリアの現状とポテンシャルのギャップに悔しさを感じていました。地元のカフェのオーナーさんは京都市内にも負けないものを提供しているがどうしても超えられない壁があると嘆いておられました。私が一番問題としていたのは地図がないということでした。地図というのは概念です。特に観光地図はそうです。そのままリアルな地形を表したものと別物です。そこには人の行きたいところ、欲求、願望が記されています。リアル地図の縮図であったとしても必要でないものは明記されません。京都の観光地図は南の端が伏見で終わりです。別エリアとして宇治があり、かろうじて掲載されるとしたら石清水八幡宮でしょうか。別エリアとして南山城エリアが掲載されることはありません。このエリアには木津川市加茂の浄瑠璃寺さんや瓶原の海住山寺さん、宇治田原の正壽印さんなど京都市内に負けない名所がたくさんあります。またカフェやレストランなど飲食店もすばらしいところが多いです。京都というだけであぐらをかいている人たちに一泡ふかせたい、そんな思いで悶々していたように思います。

私は一見、無謀と思えるこの夢の実現のために様々な事をやってきました。何をしたらよいかもわからず失敗も多くありました。その中でまずは概念としての地図にのろう、それを目標にしてきました。あきらめず腐らず地道にこのエリアの魅力を発信し続ける。そうすると見てくれている人はいるものでJR東海の方のおひとりが私の活動に興味をもっていただきました。実際、その方がキャンペーン寺院として決定する権限があったかどうかはわかりませんが、その人以外にも多くの友人や知人が推薦してくれたように思います。

キャンペーン寺院に決まり、いろいろなことがこの南山城エリアで動き始めました。観光雑誌などでもこのエリアが紹介されるようになりました。やっと観光地図にのったのです。つまりは観光するところとして認められたということでした。しかし私たちは何かが昔と変わったわけではありません。昔も今も毎日を全力で過ごしているだけです。伝統や文化を伝え残していくことは並大抵の努力では無理です。そこに人のニーズがなければいけません。しかしながら妥協するのではなく芯の部分は変えずそれを伝えないといけません。
田舎の一番の問題は自信がないところです。自分たちの持っている宝物に気づいていない。日本の文化が海外で認められて逆輸入で火が付くということがありますが、田舎も同じこと。私たちがもっているものに自信をもってそして、新しいことを学ぶ努力と欠点を改善していくことを忘れなかったら私たちはオンリーワンになれるはずです。

全てのものは等価でありそれぞれが素晴らしさをもっています。それを多くの人が等しく選択できる世の中は、私はとても豊かな世の中だと思います。インターネットなどの情報発信技術がそれを可能にしました。今、スタートラインに等しく立てています。その環境を私は何より幸せに感じています。

 

 

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