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本気で書評を書いてみる 宮本しばに「台所にこの道具」

発酵の記録

書評

いきなりなんだこのタイトルは?!と思われた方すいません。いつも適当に書いているわけでは決してないのですが、今回は書いた人本人を知っているのもあり、いつも以上に真剣に向き合おうと思ったまででした。しかしながら、それは迎合するということでもありません。ただ下手なことを適当に書いたらバレますし、それには私にとっては不義理なことなので正直自分にとってもプレッシャーではありますがこのようにタイトルをつけました。以下書評。

しばにさんの著書「台所にこの道具」を拝読しました。世にレシピ本は数多くあれど、このように道具に特化して書かれた本はそうないように思います。それこそ便利な道具みたいな本はありますが、ここまで道具への熱い思い。そして道具にインスパイアされてレシピがあるというのはめずらしいでしょう。

この本の大切なキーワードは 「調える」と「愉しむ」。しばにさん自身、花園大学、禅宗の僧侶の方々との交流があることもあってか自然にこのような「調う」という感覚を身につけておられるのでしょう。

禅では姿勢を調え、呼吸を調え、心を調えていきます。調えられた心に自我はなくそこにあるものと自然に同化していきます。無理がありません。そこから生まれる感情、行動はとても自然でその場その場、その一瞬を全力で愉しんでいます。

しばにさんの目の前に食材があり、台所には自身が愛する道具がある。そこがしばにさんのスタートです。人が意図したレシピに人が合わせていくのではなく。食材とそこにある道具が自然に導いてくれる。そこにある素を料理という形で描いていく。

自然豊かなこの日本で生活を営んできた日本人、八百万の神を信仰し生きてきた日本人の考え方がここにあります。レシピというゴールありきから始めるのではなく、このチーム(自然の恵みである食材と自然から生まれそれぞれの個性を持った道具)今自分が関わっているところから始める。

そこには与えられた楽しみではない、自身が主人公となって自発的に能動的に生み出される愉しみがあります。

この本ではしばにさんの思いいれのある道具が紹介されています。それぞれの道具に個性があります。苦手なこともあるが得意なこともある。私たち人間の話を聞いているかのようです。

便利、合理的、仕事が出来る、コミュニケーション能力に優れている。世間一般での価値は実はあまり重要ではなかったと、このコロナ禍で皆が感じ始めました。ダイバーシティ、多様性のある社会。それぞれの人が自分の得意分野で花開かせることが出来れば何の問題もなく幸せです。

柳は緑、花は紅。

私の家も炊飯器でご飯を炊くことを昨年にやめました。鍋で炊くご飯の美味しいこと美味しいこと。私の家の台所からあの大きくて邪魔な炊飯器は消えました。ご飯はその日、食べる分だけ炊けばいい。昔から日本人とあった道具たちはそのことを教えてくれます。不自由というのは自分たちがつくりだしたもの。道具たちは無理なく自然に最大限に命を活かす術を私たちに教えてくれます。

食材が道具に出会い、自身のもっている可能性を広げていく。私たちはセオリーというものに縛られて実は窮屈になっていたんだなと気づかされました。自分たちの人生も同じかもしれません。こういうキャリアプランを考えている。それにはこういう進路でこういう人たちと関わって。みたいに考えてしまう。しかし無心で全力で一日一日、会う人会う人 と時間を共有することが出来れば、私たちの生活は自身も思いつかない可能性に溢れているはず。その積み重ねが後から気づくと道になっていた、ただそれだけ。そんなことを気づかせてくれる本でした。

しばにさんが仰る素描料理というのは、レシピみたいな意図を排して食材の素の部分や道具の素の部分と対話をすることなのかなと しばにさんとしゅんしゅんさんとの対談を読んで思いました。レヴィストロースのブリコラージュではないけれど設計ありきではなく、あるものを自在に駆使する創造的生産活動だと思います。それも良い意味で高尚過ぎず自然です。道具に関してもしばにさんは私たちが普通常識的に考えているレッテルをはがして道具そのものの本質に迫る。そんなある種偏愛的な道具愛がその道具の良さを最大限に引き出す。道具が道具を超えていく。

いいなーいいなー、何も目新しいものはないけど毎日の生活の一瞬一瞬が輝いています。素描、とてもいい。おすすめです。是非皆さんもご一読を。道具を見てるだけでも楽しいし、レシピを想像してみるのもとても楽しい。そしてなにより料理して大切なひとたちと食事をするともっと楽しいはずです。

宮本しばに

 

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20代前半、横尾忠則の「インドへ」を読んで触発され、インド貧乏旅へ。

不思議体験をしたのち、ヨガと出会う。

以来、草食動物となる。

ある満月の夜に、森の中をひとりで散歩中「料理をしなさい」という声を聴く。

その声に従い、次の日から家にこもって3年間、料理研究をする。

3年後のある日、散歩をしていたら「料理教室をやりなさい」と言われ、戸惑いながらも料理教室をやる決心をする。

1999年、「ワールドベジタリアンクッキング」料理教室がスタート。

長野、東京、神戸など、各地で開催。

2009年10月、癌告知を受ける。

が、手術も治療もしないことを決断。

紆余曲折を経て、奇跡的に癌から寛解する。

このとき「自分を縛っているのは自分自身である」ということに気が付く。

この大病が、今までの生き方を見直し、新しい人生を歩み直すきっかけとなり、料理本を書きはじめる。

2011年「焼き菓子レシピノート」、

2012年「野菜料理の365日」、

2013年「野菜のごちそう」、3冊を出版(3冊とも旭屋出版)。

2014年10月

手仕事の台所道具の店studio482+を立ち上げる。

おいしいものを作る道具と料理をテーマに、作り手と使い手を繋ぐ仕事がスタート。

2016年「野菜たっぷり すり鉢料理」(アノニマ・スタジオ)

2018年「台所にこの道具」(アノニマ・スタジオ)

    「おむすびのにぎりかた」(ミシマ社)を出版

2019年4月

東慶寺(北鎌倉)で「しばにゼミ」開講。

テーマ「自分が自分で、自分を自分する」

台所仕事や料理の先にある、見えないものを探るゼミ。

参加者全員で作り、食べ、そのあとに毎回違うテーマについてを話し合う会を開催。

(コロナ禍のため、今は休止中。)

2019年9月 アノニマ・スタジオWeb連載「宮本しばにの素描料理」スタート。

現在は手仕事の道具と料理をテーマに活動中。

ギャラリーなどでSHOP展や企画展を時々開催している。

東京都出身。

長野、標高1650mの山奥で暮らしている。

《著書》

「台所にこの道具」(アノニマスタジオ)

「おむすびのにぎりかた」(ミシマ社)

「野菜たっぷり すり鉢料理」(アノニマスタジオ)

「野菜料理の365日」(旭屋出版)

「野菜のごちそう」(旭屋出版)

「焼き菓子レシピノート」(旭屋出版)

「ベジタリアンのおいしい食卓」(自費出版)

《これまで出演したイベント、メディア掲載》
コンランショップ(渋谷)
無印良品(有楽町)
AKOMEYA(銀座)
恵文社(京都)
絵本カフェMebae(京都)
大阪阪神百貨店(大阪府)
nabo books & cafe(長野県上田市)

たろう屋(長野県上伊那郡)

アトリエデフ(長野)

GULIGULI(大阪池田市)

茶色(長野県上田市)

ハミングバード ブックシェルフ(京都)

京都ラクエ

NHKラジオ第1「マイあさラジオ・著者からの手紙」
雑誌「家の光」2017年8月号特集記事掲載

大同生命保険会社「ONE HOUR」2019年3月号掲載

東急IN「たのやく」 2019年4月号掲載

「& Premium」掲載

J-WAVE放送 朗読

日本政策金融公庫・AFCフォーラムのコラム

光文社サイトkokode「一年中楽しむ正月料理」レシピ掲載

《過去に開催したショップ展・企画展》

恵文社(京都)

GULIGULI(大阪)

東慶寺(鎌倉)

NABO(長野)

 

 

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出版社からのコメント

前著『野菜たっぷり すり鉢料理』ですり鉢の良さを再提案した著者による二作目。本書では愛用の「日本の台所道具」と、その道具の特性を活かした料理を紹介します。著者自身の「相棒」とも言うべき、昔ながらの台所道具16種を厳選し、実感と愛情あふれる文章で綴ります。木・土・鉄など、昔ながらの道具にはその素材にも確かな理由があり、五感に響く使い心地です。知ってはいるけど使ったことがない、持ってはいるけどあまり使っていない、そんな台所道具の魅力を再発見してください。日本好きな海外の方向けに、全編に英訳が付いています。

 

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