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書評 日本の美意識で世界初に挑む-細尾真孝

アウトプット 紹介

2021年HOSOOの躍進がさらに目覚ましい年となった。常に時代の先端であり続けありとあらゆる賞を獲得しつづけています。

HOSOOには競合がありません。いやまず競合という概念がありません。

ビジネスにおいてビジネスモデルという考え方があります。あのビジネスモデルは?と常に最先端のビジネスモデルが話題にされます。

しかしHOSOOはビジネスモデルではありません。ビジネスモデルなんかではなくセンスといえます。それがこの著書のタイトルにある「日本の美意識」だと思います。オリジナルであって唯一のものと言えます。

だからこそ競合がありません。むしろありとあらゆるものとチームとなることが出来ます。アイディアでジャンルを飛び越えて無限にコラボレーションしていくことが出来るのです。

原動力は人のもつ「美しいものをつくりたい」というシンプルな欲求です。これからの時代の鍵となるのがこのシンプルな欲求であって、これによって創造や革新が現実のものとなる そのことが書かれています。これからのビジネスを考える上で大切になってくるのではないでしょうか

この本では日本再生のカギとなる日本の美意識、そして創造と革新をうみだすヒントが工芸にあるということを以下の3つの視点で紹介しています。

  1. 固定観念の打破
  2. 妄想によるイノベーション
  3. 美意識の育成

私がこの本を読んで一番感動したのは、この本自体がこれを読むことによってこの3つを体現していることです。

まず固定観念の打破は私に新たな驚きと気づきを与えてくれました。

私は細尾君マニアなので彼が出演している番組や雑誌のインタビュー、目を通せるものは必ず目を通しています。その中で繰り返し語られるのがセックスピストルズとの出会い、パンクとの出会いです。このことはいつも話されているので知っていましたが少し理解が浅かったようです。

少なからずあの年ごろの私たちはカウンターカルチャーであるパンクミュージックに出会い衝撃を受け影響をうけました。ただ今考えると私は本当に何がパンクであったのか、わかっていなかったように思いました。反体制的なその姿にただ憧れてコピーしていたに過ぎなかったように思います。

細尾君はその中で本当にパンクを体現していたのだなというのが驚きでした。本当にパンクであること、オリジナルであったのだと。

少なくとも私の細尾君への固定観念はここで崩されました。序盤からくらわせてくれます(笑)

そしてこの固定観念の打破は私が最近、感じていた自身のHIPHOPに対する感情に似ていることにも気づけたのも面白かったです。あの頃のシンプルにかっこいい、あんなふうになりたい 初期衝動のようなものは人を動かす大きな力になります。

次に妄想によるイノベーション、私もかなり妄想癖があるほうだと思っていましたが細尾君の妄想の数々を読んでいると本当にワクワクしてきます。またその大風呂敷を回収していく様が実に面白い。blueherbのボスさんのMCを前にすると本当に世界は変えられるんじゃないのかとドキドキワクワクしますがそのような魅力と力強さを感じます。

そして美意識の育成ですが、すでにこの本にその育成がたくさん用意されています。本として適度なボリューム感でうまく構成されているので読みやすいのですが、各所に美意識を育成させてくれるアーティストやアートのワードが盛り込まれています。初めて聞く名前もあります。

それだけでも自身の知らない新しい世界を開いてくれます。一回目はさらっと全体を読みそして二回目以降は、気になったアーティストをググるための参考書のような本にわたしの中ではなっています。

以前、小倉ヒラクさんの「発酵文化人類学」をこちらで取り上げましたが、同じような感じです。あの本も読みやすさの中にもし気づきの資料的な要素が組み込まれていた良本でした。

この二年間のコロナ禍で私たちの価値観は大きく揺らぎました。今までの働きかたの概念が大きく揺さぶられています。このことを私は不安ではなく大きく変われるチャンスだと考えています。

私たち全員が自主的に自分の未来をつくっていける、そういう時代が来ようとしています。

細尾君の素晴らしいところは美意識、センスは言わずもがな その姿勢、西陣を背負ったスタンスなのだと感じました。西陣の職人へのそして歴史へのリスペクトを感じました。飽くなき探求心と美への投資。私もこのままではいけない もっとやれるはず そんな勇気もいただくことが出来ました。

感謝。ありがとう。

 

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